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後藤会長 新年ご挨拶(2021-1-8)

    会長 後藤 清

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。会員の皆様には当協会の活動に対し日頃から多大なご支援を賜り、心から御礼申し上げます。

 

 昨年は、ほぼ年間を通じ、「新型コロナウイルス」対応に追われた一年であったように思います。

わが国の威信をかけて準備に取り組んできたオリンピック・パラリンピックも延期を余儀なくされましたし、インバウンドの観光客の増加により活況を呈していた観光地やホテル、交通などの業界も大きな打撃を受けました。また、わが電設工事業界においては、工事はどうしても狭い空間の中で設備を設置していくという特徴から、その厳しい条件下で感染防止、安全対策に万全を期すことが求められました。また、協会の活動においても、会員が集まり対面で情報や意見を交換して新たな方向性を探っていくという性格の活動も基本から見直しをしなければならなくなりました。全国の会員が一堂に会する貴重な機会である会員大会は中止を余儀なくされましたし、新技術を披露するJECA FAIR電設工業展も開催できませんでした。さらに会員が一堂に会して新たな年を迎えるに当たっての決意を共有出来る賀詞交歓会も中止にいたしました。各種委員会活動も現地調査はほぼ中止、各種会議もオンラインや書面で実施せざるを得ないケースもありました。

 冬季に入り、感染者が急激に増加し1都3県では1月7日に緊急事態宣言が発令されました。ワクチン等安心で有効な予防対策も検討され期待しているところではありますが、効果を発するにはまだまだ時間を要することが予想されますので、しばらくは感染対策を徹底し安全に最大限の配慮をしつつ業務遂行に努めていかなければならないと思います。

当初計画した活動が昨年来コロナのためかなり出来なかったことは会長として本当に残念な思いで一杯ですが、戦後最悪ともいわれている国難の中では致し方ないと考えを新たにし、本年はコロナによる影響を踏まえた中でも出来る限りの活動をしていきたいと考えておりますのでご理解・ご支援をお願いいたします。

 

 そうした中での、目下最大の懸案は、技術者・技能者の高齢化や若年入職者の減少に伴う担い手不足です。産業を支える人材の確保、そしてそのためにも必要な「働き方改革」の強力な推進が引き続き必要です。

 一昨年に続き、昨年も第2回の「働き方改革 フォローアップ調査を」実施しましたが、改修・保守工事等を中心に変形労働時間制が採用されているケースも多く、完全週休二日制の浸透はなかなか進んでいない状況です。また、新築工事現場においては、前工程の遅れによる「しわ寄せ」が、工期後半に集中する電気工事に対し発生している実態も明らかになっています。

 昨年は、働き方改革を目的とする新・担い手三法改正による「著しく短い工期による請負契約の禁止」の導入を受け、中央建設業審議会において「適正な工期の基準」を策定するための議論が行われました。当協会もワーキンググループの段階から委員を派遣して議論に参加し、建設請負契約において適正な工期を実現するための課題について私どもの立場を訴えました。昨年7月に「基準」が取りまとめられ、同審議会より勧告がなされました。「基準」には、設備試運転期間を適正に考慮した概成工期を設定することが望ましいことや工事の期間中に「しわ寄せ」と思われる事態が生じた場合には、発注者と受注者、元請と下請が対等の立場で工期の変更や増嵩費用の追加などを協議することなど、私どもが主張していた内容を盛り込んでいただきました。私はこの基準は大変有効であり画期的なものと捉えております。今後は、われわれの立場からも、当初から概成工期を設定したり、「しわ寄せ」につながる工事の期間中の出来事についてエビデンスを残し、「しわ寄せ」と思われる事態が生じた場合には、その実態を説明するとともに、対等の立場で工期変更や、増嵩費用の追加などを求めていくという努力を続けていくことにより従来の発注者、元請け、下請けの関係も変わっていくものと思います。このような「基準」に基づく対応の留意点については、ガイダンス資料を作成し、会員企業への周知・理解に努めてまいります。

 また、第一種電気工事士の資格取得に必要な実務経験年数が学歴を問わず一律3年以上に改正されることとなり、本年4月より施行される予定です。実務経験年数の短縮については各支部の皆様との懇談会の中でも強い要望があり、当協会としても長年関係官庁に申し入れてきた努力が実ったことになり、人材育成や入職促進の効果が大きく期待されるものです。

 さらに、担い手の確保のみならずグローバル化への対応も含めた新たな選択肢として、特定技能制度に基づく外国人技能労働者の受入れについても、業務内容や技能評価試験の枠組みについてさらに検討を進めております。直ぐに外国人技能労働者の受入れが当業界にとって必要とは捉えていませんが、今後間違いなく人手の確保が深刻化することを踏まえ、今から制度を構築しようとするもので、近々での職種追加の閣議決定を目指してまいります。

 労働基準法の労働時間の上限規制の適用まであと3年となります。それまでに長時間労働の是正や働き方改革の具体化を図り、魅力ある業界を作っていきたいと考えておりますので、会員の皆様の一致団結した取り組みを切にお願いする次第です。

 

 昨年から、第3次の「アクションプラン」の期間に入っています。中期的な将来を見据え、「働き方改革」「担い手確保・育成と処遇改善」「生産性向上」「適正な工期・価格の確保と適切な工程管理」「持続可能な事業環境」「分離発注の促進」「グローバル化への対応」の重点7項目について、電気設備工事業界の発展に向けて取り組んでまいりたいと考えております。本年もコロナ禍での大変厳しい事業環境となると思われますが本部・支部及び各都道府県協会が手を携え、さらには関係機関・団体との連携を強化し、行動する電設協として「夢と生きがいのある電設業界」に向かって邁進してまいります。

 

 結びに、本年の皆様のご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。

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